羽毛試験(かさ高性、油脂分、清浄度、酸素計数)

概要

 JIS L 1903に規定されている羽毛試験の内、かさ高性、油脂分率、清浄度、酸素計数について説明します。
 

 当センターは、日本羽毛製品協同組合(略称:日羽協)やIDFB(International Down and Feather Bureau/国際羽毛協会)から認定されている試験機関であり、JIS以外の羽毛試験として、pH、臭気、鳥種(陸鳥、水鳥)、羽毛色(グレー羽毛混入率)、ダウンウエアの羽毛吹出し(日羽協法)を実施しています。


かさ高性(ダウンパワー)
概要

 かさ高性は羽毛の膨らみ具合を表す数値で、羽毛1gに対してどの程度の体積(cm3)なのかを示します。

数値は大きいほど膨らみ度が高いという意味になります。

試験方法

JIS L1903

  1. 試料を約35g採取しステンレス金網調整容器に入れた後、スチーム法(ドライヤやスチーム発生器による処理)により前処理を行います。
  2. その後、円筒形のかさ高測定装置に試料を30±0.1gを投入し、上から円盤によって荷重を掛け羽毛の体積を測定します。
  3. 測定した試料の重量と体積から、ダウンパワー(cm3/g)を求めます。
コラム

 一昔前までは、かさ高性は羽毛の高さ(mm)の数値で表していましたが、今ではグラム当たりの体積(cm3)で表す「ダウンパワー」が一般的になっています。「フィルパワー」というかさ高性を表す用語もありますが、こちらはIDFB(国際羽毛協会)が採用している方法で、立方インチ単位の体積(inch3)で表します。

 なお試験方法はスチームの処理条件や測定方法、結果の単位がJIS規格と異なりますので、JIS規格への換算は出来ません。

<参考>

1 inch(インチ)=2.54cm

油脂分率
概要
 羽毛原料は洗浄・殺菌・除塵された精製羽毛が使用されていますが、油脂分率が多いと臭いや側地などへの染み出し原因になります
試験方法

JIS L 1903

  1. 試料約3gを採取し、ソックスレー抽出器に入れジエチルエーテルにて4時間抽出します。
  2. 抽出後、抽出物残渣を乾燥し質量を測定し油脂分率を算出します。
清浄度
概要
 羽毛原料は洗浄・殺菌・除塵された精製羽毛が使用されていますが、清浄度は埃や臭いの原因となる塵埃などが多くないか調べます。清浄度の数値が大きいほど良いとされています。
試験方法

JIS L 1903(清浄度500mm以下の場合)

  1. 試料3.0±0.1gを、共通すり合わせ三角フラスコに300mlの水と共に入れ、これを4つ用意します。
  2. 振とう機にて45分間振とうします。
  3. 振とう後の懸濁液を透視度計に入れ、透視度計の上部から底を覗きながら懸濁液を排出していきます。
  4. 透視度計の底にある標識板の二重十字が認識できた時点で、透視度計の目盛を読み取ります。
  5. この数値が、清浄度となります。
酸素計数
概要
 羽毛原料は洗浄・殺菌・除塵された精製羽毛が使用されていますが、酸素計数は臭いの原因となる有機物残留量が多くないか調べます。酸素計数の数値が小さいほど良いとされています。
試験方法

JIS L 1903

  1. 試料3.0±0.1gを、共通すり合わせ三角フラスコに300mlの水と共に入れ、これを2つ用意します。
  2. 振とう機にて45分間振とうします。
  3. 振とう後の懸濁液及び水(空試験)を0.02mol/L過マンガン酸カリウム溶液で滴定します。
  4. 滴定した数値から酸素計数を算出します。