紫外線遮蔽性(JIS L 1925)
概要
繊維製品における紫外線遮蔽性試験は、従来「紫外線カット素材の加工効果統一評価方法(日本化学繊維協会)」または、「オーストラリア・ニュージーランド規格(AS/NZ 4399:2017)」により評価されてきましたが、2019年1月21日にJIS規格(JIS L 1925)が発行されました。JIS L 1925では、紫外線遮蔽率の測定方法とUPF(紫外線防護係数)の測定方法が規定されています。試験に用いる紫外線の波長領域は290~400nm、UPF格付け値は10段階(UPF50+、UPF40 など)で表されます。
紫外線遮蔽率
試験方法
- 試験片約50mm×50mmをたて方向2枚以上、よこ方向2枚以上採取します。
- 張力をかけずに自然な状態で分光光度計に装着します。
- バンドパスフィルター※を取り付けた分光光度計で、波長290~400nmの紫外線に対する透過率を測定します。
- 次式により紫外線遮蔽率を算出します。
紫外線遮蔽率(%)=100-紫外線に対する平均透過率(%)
※:試験片に含まれる蛍光物質の影響を防ぐため、400nm以上の波長をカットするフィルター
環境省「紫外線環境保健マニュアル2020」2020年3月改訂版より引用
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
紫外線遮蔽率(%) |
加工品 |
97.1 |
未加工品 |
90.5 |
試験方法:JIS L 1925
試験結果の見方
数値が大きいほど、紫外線を遮蔽する効果が高いことを示します。
UPF(紫外線防護係数)
概要
UPF とは、Ultraviolet Protection Factor の頭文字を取ったもので、素肌で紫外線の影響を受ける時間に対し、例えば UPF30の衣服を着用すると、素肌と同程度の紫外線の影響を受けるのに約 30 倍の時間を要する(紫外線の影響を受けにくい)ことを意味します。
試験方法
分光光度計を使用して、波長290~400nmの紫外線により試料の分光透過率を測定し、太陽分光放射照度の相対エネルギー値や皮膚の影響度合いを表す値などを用い算出します。UPFの格付け値は、下表の通り10段階で表します。
UPF換算値 |
UPF格付け値※ |
55以上 |
UPF50+ |
50 |
UPF50 |
45 |
UPF45 |
40 |
UPF40 |
35 |
UPF35 |
30 |
UPF30 |
25 |
UPF25 |
20 |
UPF20 |
15 |
UPF15 |
10以下 |
UPF適用外 |
※製品用途に応じ、UPF 格付け値及び / 又は紫外線遮蔽率の実測値を適用します。
JIS L 1925:2019 表B.1より(表は当センターで作成)
注)繊維製品の性能を評価するものではなく、製品に使用されている生地の性能を評価するものです。
試験結果例
試験項目 |
試験結果 |
UPF格付け値 |
試料A |
UPF50+ |
試料B |
UPF30 |
試験方法:JIS L 1925
試験結果の見方
UPF格付け値が大きいほど、紫外線の影響を受けにくいことを示します。