抽出液のpH

概要

 「生地のpH」とは、生地を水または塩化カリウム溶液に浸せきし、浸せき後の液のpH値を測定した「抽出液のpH」のことです。

 試験に用いる水は、イオン交換水や蒸留水を用い、塩化カリウム溶液は、0.1mol/L濃度のものを用います。


目的

 肌のpH値は弱酸性と言われているため、肌に直接接触する繊維製品も弱酸性~中性であることが望ましいと考えられています。中国や韓国では繊維製品が肌へ与える影響を考慮して、基準(GB規格、KCマーク)が設定されています。

 また硫化染料などで染色し、染色後の洗浄が不十分な場合に、酸化した硫黄がセルロース繊維等を脆化させてしまう場合があります。この時、生地は強酸性を示すことがあると言われています。


 繊維製品のpH値を測定することで、肌への安全性や脆化への回避の指標となります。


※化学的や物理的な要因によってもろくなっていく現象


試験対象品
  • インナー
  • 硫化染料使用の衣料品
GB/T 7573 / ISO 3071 / JIS L 1096 B法
試験方法

【塩化カリウム溶液(KCl)抽出法】

  1. 試料2gを採取し、細かく切断します。切断した試料とKCl溶液 100mLを栓付フラスコに入れて密栓します。
  2. 手でフラスコを振とうし、試料とKCl溶液をなじませた後、振とう器で2時間振とうします。
  3. 得られた抽出液のpHを、pHメーターで測定します。
     
   
振とう操作    pHメーターによる測定
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
抽出液のpH 6.4

GB/T 7573

(KCl溶液抽出)

補足
 GB規格やKCマークでは乳幼児用製品、肌に直接触れる製品(肌着、靴下など)、肌に直接触れない製品、などで分類され、それぞれ基準値が異なります。乳幼児用製品の基準値が最も厳しくなっています。
JIS L 1096 A法
試験方法
  1. 試料5gを採取し、細かく切断します。
  2. 水50mLを栓付フラスコに入れて、フラスコ中の水を2分間静かに煮沸させます。
  3. フラスコを熱源から離し、切断した試料をフラスコ内に投入します。
  4. 密栓した状態で30分間放置します。この時栓を緩めて時々振とうさせます。
  5. 得られた抽出液のpHを、pHメーターで測定します。
試験結果例
試験項目 試験結果 試験方法
抽出液のpH 6.8

JIS L 1096 A法