フタル酸エステル類の定量試験

概要

 ポリ塩化ビニル樹脂(PVC)などの樹脂に柔軟性を持たせるための添加剤(可塑剤)として使われる物質に、フタル酸エステル類があります。フタル酸エステル類の含有量を調べる試験です。フタル酸エステル類には、DBP、BBPなど多くの物質があります。総称として「フタル酸エステル」と表現されることもあります。


目的

 一部のフタル酸エステル類は人体へ与える影響が懸念されており、特に子供が口にする可能性のあるおもちゃや育児用品類は、経口摂取のリスクから世界各国で使用が制限されてきました。そんな中、REACH規則では、2019年の改正で規制対象が大きく拡大されました。従来からのおもちゃ及び育児用品に加え、皮膚と長期間接触する可能性のある全ての製品が対象となりました。具体的には、樹脂製のバッグ・シューズなどが例にあげられます。


試験対象品
  • 合成皮革
  • 人工皮革
  • ラバープリント品
  • 樹脂製品
試験方法
 図に示すように試料から可塑剤を有機溶媒で抽出し、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC/MS)により、その成分を測定(定量)します。
フタル酸エステル系可塑剤の分析手順 ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)
  • フタル酸の国内試験は食品衛生法とST基準(SafetyToy:安全玩具)によるものがあります。