軟質及び低反発ウレタンフォームの試験(JIS K 6400など)

概要
 軟質ウレタンフォーム及び低反発ウレタンフォームの試験方法は、JIS K 6400「軟質発泡材料−物理特性の求め方」及びJIS K 6401「耐荷重用軟質ポリウレタンフォーム」で規定されており、具体的な試験項目は以下の通りです。
試験項目 試験概要 規格番号
見掛け密度 試験片の単位体積あたりの質量を求める。 JIS K 7222
硬さ

定められた条件下で、試験片に、定められた変形を与えるのに

要する力を求める。

JIS K 6400-2
圧縮たわみ

定められた条件下で、試験片に変形を与えた時に生じる反発力

と変形率との関係を求める。

反発弾性

試験片に、定められた高さから鋼球を落下させ、跳ね返った高

さから反発弾性率を求める。

JIS K 6400-3
圧縮残留ひずみ

定められた温度条件下で、試験片をその厚さの50%または

75%に圧縮した後、元の厚さに対する低下率を求める。

JIS K 6400-4
繰返し圧縮残留ひずみ

試験片を、定荷重・定変位で繰返し圧縮することによって発生

する厚さ、または硬さの低下量もしくは低下率を求める。

引張強さ

引張試験機を用いて試験片を引っ張り、破断時の引張強さと伸

び率を求める。

JIS K 6400-5
引裂強さ 引張試験機を用いて試験片を引っ張り、引裂強さを求める。
燃焼性

規定された装置を使用し、試験片を水平に置いて燃焼させた時

の燃焼距離、燃焼速度、消化時間を求める。

JIS K 6400-6
通気性

通気性試験機を用いて、試験片面の前後で生じる圧力損失を一

定に維持するために必要な通気量を求める。

JIS K 6400-7

目的

 家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規定では、ウレタンフォームマットレス(ウレタンフォーム部分の最大の厚さが50mm以上のものに限る)は、次の表示を行う必要があります。

  1. 材料
  2. 構造
  3. 寸法
  4. 硬さ
  5. 復元率
  6. 外装生地の組成
  7. 使用上の注意


 表示事項の内、ここでは硬さ、復元率(繰返し圧縮残留ひずみ)について紹介します。


硬さ試験(JIS K 6400-2・A法)
概要
 JIS K 6400-2に規定されており、試験の種類はA法、B法、C法、D法、E法の5種類ありますが、家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規定ではA法を用いることになっています。
試験方法

予備圧縮

  1. 試験片380mm×380mm(厚さ50mm)を準備します。
  2. 試験片の中央に、直径200mmの加圧板にて100mm/minの速度で5N加圧し、その時の位置を初期位置として厚さを計測します。
  3. 厚さの70%まで加圧した後に、100mm/minの速度で初期位置まで戻します。
  4. 続けて同じ操作を2回(計3回)繰り返します。

操作

  1. 予備圧縮後の試験片を速やかに、厚さの40%まで加圧し30秒間保持します。
  2. この時の荷重を硬さとします。


試験結果の見方

 家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規定(令和2年10月1日施行)では、JIS K 6400-2 A法による硬さによって次のように表示することが規定されています。

区分 用語
120N以上 かため
75N以上120N未満 ふつう
75N未満 やわらかめ


 

実際の表示例:かため(140N)

繰返し圧縮残留ひずみ試験(JIS K 6400-4)
概要

 JIS K 6400-4に規定されており、試験の種類はA法、B法の2種類ありますが、家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規定ではB法を用いることになっています。

 試験片を繰返し圧縮することによって発生する厚さ・硬さの低下量により、ウレタンフォームの“ヘタリ”や“反発性”を評価します。

試験方法

A法(定荷重法)

  1. 試験片380mm×380mm(厚さ50mm)にて、JIS K 6400-2 A法により厚さと硬さを求めます。
  2. 試験片の中央に、直径250mmの加圧子にて750±20Nで加圧できる試験装置に、試験片をセットします。
  3. 70±5回/minの速度で、80000回繰返し圧縮します。
  4. 無加圧状態で100分間放置し、1項と同様に厚さと硬さを求めます。
  5. 結果より、厚さ低下率(%)、硬さ低下量(N)、硬さ低下率(%)を算出します。
     
 


 

B法(定変位法)

  1. 試験片50mm以上×50mm以上(厚さ20mm以上)を変形させない状態で中央部の厚さを測定します。
  2. 繰返し圧縮試験機に試験片をセットします。
  3. 60回/minの速度で、厚さの50%まで80000回繰返し圧縮します。
  4. 試験機から取り出し30分間放置後、1項と同様に厚さを求めます。
  5. 結果より、厚さ低下率(%)を算出します。
     

補足

 家庭用品品質表示法 雑貨工業品品質表示規定の「復元率」の表示では、JIS K 6400-4 B法で求めた「厚さ低下率」を100から引いた数値以下を表示することとなっています。

【例】

厚さ低下率:3.4%

復元率:100-3.4=96.6%

実際の復元率の表示:96%