有機フッ素化合物の総称であるPFAS(ペルフルオロアルキル化合物およびポリフルオロアルキル化合物)は、はっ水性、はつ油性などの特性を持つことから広い用途で使用されています。
しかし、有毒性や難分解性があると報告されており、残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)の附属書A(廃絶)には、PFASの一種であるPFOA(ペルフルオロオクタン酸)、PFHxS(ペルフルオロヘキサンスルホン酸)が収載され、附属書B(制限)には、PFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)が収載されています。
当センターでは、燃焼-イオンクロマトグラフィーによる全有機フッ素の含有量を調べることで、PFASの有無を確認することができます。
残留性有機汚染物質(POPs)による地球規模の汚染が懸念され、「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)」が2004年5月に発効しています。POPsの一種であるPFOS(ペルフルオロオクタンスルホン酸)やPFOA(ペルフルオロオクタン酸)といったペルフルオロアルキル化合物が順次対象となり、世界的に規制が進んでいます。
このような中、米国ではカリフォルニア州を始めとした各州において、PFAS全般を規制する州法が成立しています。カリフォルニア州法AB1817では、2025年1月1日よりPFASの含有量が全有機フッ素の測定値として100ppm、2027年1月1日から50ppm以上含む繊維製品が規制されます。
PFASの一化合物であるPFOAやPFOS、PFHxSといった特定の物質の規制に対しては、液体クロマトグラフィー(LCMSMS)による物質ごとの定量分析を行っていましたが、PFASは数千種類にも及びますので、これら全ての成分を個別に定量することは困難です。PFASは有機フッ素化合物であることからフッ素に着目して、全有機フッ素の含有量を調べることでPFASが含まれていないかどうかを調べることができます。
燃焼-イオンクロマトグラフィーの測定原理ですが、試料を900~1000℃の炉内で完全燃焼させることで有機フッ素化合物をフッ化水素に変換します。このフッ化水素を吸収液に吸収させた後、イオンクロマトグラフに導入してフッ素イオンを定量することでPFASの存在を調べることができます。