花粉やダニ由来のタンパク質低減性試験(ISO 4333)

概要

 私たちの身の回りには、花粉・ダニのフンや死骸に由来するタンパク質(特定タンパク質)が存在しています。このような特定タンパク質は抗原(アレルゲン)と呼ばれ、人間の体内に入ると皮膚炎や鼻炎などのアレルギー反応を起こすことがあります。

 近年繊維製品の中には、これらの特定タンパク質を低減させる機能を付与した製品があり、こうした機能を評価できる方法として、ISO 4333(Textiles — Determination of reduction activity of specific proteins derived from pollen, mite and other sources on textile products [繊維—繊維製品上の花粉、ダニ由来タンパク質などの減少度測定方法])があります。


目的

 この試験方法は、繊維製品上で抗原抗体反応を示す、花粉やダニに由来するタンパク質を低減する度合いを測定します。


試験対象品
  • 衣料品
  • カーテン
  • 布団
  • シーツ
  • 織物
  • 編物
  • 不織布
試験方法

ISO 4333


 

  1.  ポリエチレン袋に試験試料(5cm×5cmまたは0.4g)を入れ、特定タンパク質を1mL接種します。また同時にネガティブコントロール(陰性対照)として、ポリエチレン袋に試験試料がない状態で、特定タンパク質1mLを接種します。

     
  2. 25℃にて2時間静置します。
     
  3. 2時間後、試料を4つ折りにし、接種液を回収します(ネガティブコントロールは接種液のみを回収します)。
     
     
  4. ELISAにて、回収液中のタンパク質濃度を測定します。
     
     
  5. 以下の式により低減率を求めます。


    低減率(%)=( Rn-R)/Rn×100

     Rn:n=3のネガティブコントロールの特定タンパク質濃度(ng/mL)の平均値

     Rt:n=3の試験片から回収した特定タンパク質濃度(ng/mL)の平均値


※:ELISA(Enzyme-Linked Immuno Sorbent Assay・酵素結合免疫吸着測定法)

試験結果例
試験項目 試験結果
特定タンパク質低減率 原品 89%
洗濯5回後 70%
試験方法:

ISO 4333:2022

特定タンパク質;スギ花粉タンパク質(Cry j 1)

洗濯条件;JIS L 1930 C4G法吊干し(JAFEET標準配合洗剤使用)

試験結果の見方

一般社団法人 繊維評価技術協議会によるSEKマーク繊維製品認証基準では、基準値は次の通りです。
 

 

特定タンパク質低減率≧70%


【注意】

  • この試験方法は、繊維製品上での特定タンパク質量を定量するものであり、人体への影響・病気の治療や予防を評価するものではありません。
  • 性能表示については、各都道府県自治体の薬務課等へご相談ください。
補足

繊維上の特定タンパク質を低減する加工に用いる試験対象タンパク質は、以下の通りです。

試験対象タンパク質 花粉由来 Cri j 1(スギ花粉 表層)
ダニ由来 Der f 1(コナヒョウヒダニ 排泄物)
ダニ由来 Der f 2(コナヒョウヒダニ 虫体)