紫外線吸収剤(安定剤)の定量試験

概要

 紫外線により劣化するのを防ぐため、プラスチック製品などでは紫外線吸収剤が広く用いられています。紫外線吸収剤の一部に有害性の疑いが指摘されているものがあり、これらが使用されていないかを調べます。


目的

 紫外線吸収剤はプラスチックのほか、合成繊維、ゴム、塗料、接着剤などにも使用されます。

 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は環境中で分解されにくく、鳥や魚などの体内に蓄積しやすい性質があり、多くの生物体内から検出されるなど汚染の広がりが懸念されています。中でもUV-328は2021年1月に行われた「残留性有機汚染物質検討委員会」(POPRC)の会合でストックホルム条約(POPs条約)の対象物質として規制対象とするかどうかを検討するためのリスク評価が開始されています。
 この他、UV320、UV327、UV350を併せた4種類のベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は欧州REACH規則において高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern)に分類されおり、繊維製品においても使用を制限・禁止する動きが活発化しています。

略称 CAS番号 物質名
UV-328 25973-55-1 2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
UV-320 3846-71-7 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール
UV-327 3864-99-1 2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)フェノール
UV-350 36437-37-3 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-sec-ブチル-4-tert-ブチルフェノール

試験対象品
  • プラスチック樹脂
  • 合成繊維
  • ゴム
  • 塗料
  • 接着剤
試験方法
 試料から紫外線吸収剤を有機溶媒で抽出し、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC/MS)により定量します。
フタル酸エステル系可塑剤の分析手順 ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)