紫外線吸収剤/安定剤の定量試験

概要

 紫外線により劣化するのを防ぐため、プラスチック製品などでは紫外線吸収剤が広く用いられています。紫外線吸収剤の一部に有害性の疑いが指摘されているものがあり、これらが使用されていないかを調べます。


目的

 紫外線吸収剤はプラスチックのほか、合成繊維、ゴム、塗料、接着剤などにも使用されます。

 ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤は環境中で分解されにくく、鳥や魚などの体内に蓄積しやすい性質があり、多くの生物体内から検出されるなど汚染の広がりが懸念されています。中でもUV-320は2007年11月に化審法 第1種特定化学物質に措定され製造、使用、輸入が禁止されています。
 また新たにUV-328が2023年5月に行われたストックホルム条約(POPs条約)の第11回締約国会議において付属書A(廃絶)への追加が決定されたことから、今後、化審法の第1種特定化学物質に追加される予定です。
 この他、UV-327、UV-350、UV-326、UV-329は欧州REACH規則において高懸念物質(SVHC:Substances of Very High Concern)に分類されおり、繊維製品においても使用を制限・禁止する動きが活発化しています。

略称 CAS番号 物質名
UV-328 25973-55-1 2-(3,5-ジ-tert-アミル-2-ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール
UV-320 3846-71-7 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-4,6-ジ-tert-ブチルフェノール
UV-327 3864-99-1 2,4-ジ-tert-ブチル-6-(5-クロロ-2-ベンゾトリアゾリル)フェノール
UV-350 36437-37-3 2-(2H-ベンゾトリアゾール-2-イル)-6-sec-ブチル-4-tert-ブチルフェノール
UV-326 3896-11-5 2-(2'-ヒドロキシ-3'-t-ブチル-5'-メチルフェニル)-5-クロロベンゾトリアゾール
別名:ブメトリゾール
UV-329 3147-75-9 2-[2-ヒドロキシ-5-(1,1,3,3-テトラメチルブチル)フェニル]ベンゾトリアゾール

試験対象品
  • プラスチック樹脂
  • 合成繊維
  • ゴム
  • 塗料
  • 接着剤
試験方法
 試料から紫外線吸収剤を有機溶媒で抽出し、ガスクロマトグラフ−質量分析計(GC/MS)により定量します。
ガスクロマトグラフ-質量分析計(GC/MS)