接触角測定

概要

 当センターでは接触角測定装置を導入し、レインウェア、傘生地、プラスチック、金属、ガラス表面等の濡れ性や、はっ水剤の評価が可能です。
 

 従来、水や油をはじく評価として「はっ水性」「はつ油性」がありますが、この評価は目視による方法を取っていました。しかし、接触角測定装置では角度として数値化が可能です。
 


目的

 液滴が固体に付着した時、液滴が球体状となると濡れにくい、液滴がベタッと広がると濡れやすいことが分かります。
 これらの濡れ方は、付着した液体と固体表面の表面張力、およびその液体・固体間の界面張力の値に依存し、落とした液滴と固体表面との間で形成される角度は「接触角」と呼ばれています。その「接触角」を目視ではなく数値化することで、差別化することが出来ます。
 接触角は濡れにくさ、汚れにくさなど、固体の表面状態の指標として、様々な研究部分野、生産管理の現場などで測定が行われています。


試験対象品
  • レインウェア
  • 傘生地
  • プラスチック
  • 皮革
  • 木材
  • 金属
  • ガラス
  • タイル
  • 化粧品
  • 平板状の試料
概要

 サンプルに液滴を滴下して測定します。
 サンプル面の液滴に光を当て、反対側のカメラから液滴の画像を捉え、ソフトウェアにて解析し接触角を算出します。
 接触角の演算方法はいくつかの種類がありますが、サンプルに応じて使い分けています。

接触角

試験方法
  1. 液体を一定にして数種類の固体サンプルを測定する方法と、固体サンプルを一定にして数種類の液体を測定する方法が可能です。
  2. 固体サンプルに液滴を1~4μL(滴下量は任意)滴下します。
  3. 液滴の後方から投光し、液滴前方のカメラから液滴の画像を捉え、ソフトウェアにて解析し接触角を演算します。
  4. 演算方法は、接触角液滴法(楕円フィッティング法、Tangent法、Circle法、θ/2法、Young-Laplace法)、動的前進/後退角(拡張収縮法)、表面自由エネルギー(OWRK法)に対応可能です。一般的には、接触角液滴法(Young-Laplace法)や接触角液滴法(θ/2法)が用いられます。

試験結果例

【はっ水スプレー剤の評価の場合】

試験項目 試験結果 試験方法
滴下時の接触角(°) 原布(塗布無し) 114

JIS L 0803 8-1号ポリエステル布に
20cmの距離から均一になるよう2往復噴霧し、
乾燥後試験に供した。

(依頼者の指定方法による)


演算方法:Young-Laplace法
滴下量:2μL

フッ素系A 139
フッ素系B 134
フッ素系C 137
フッ素系D 126
シリコーン系E 131
シリコーン系F 133
試験結果の見方

接触角が大きいほどはじいていることを表します。

試験結果をグラフ化し、実際の写真も併せてご覧ください。

 

 

 

 

原布  

フッ素系A

     

 
フッ素系B   フッ素系C
   
シリコーン系D    シリコーン系E
   
 
シリコーン系F    
試験結果例

【ウォータープルーフアイライナーの評価の場合】

試験項目 試験結果 試験方法
滴下時の接触角(°) アイライナーA 127

はっ水性のないヌメ革(タンニンなめしした革)に
1×1cmの面積にアイライン1gを均一に塗布し、
乾燥後試験に供した。

(依頼者の指定方法による)


演算方法:Young-Laplace法
滴下量:2μL

アイライナーB 118
アイライナーC 97
アイライナーD 96
アイライナーE 94
試験結果の見方

接触角が大きいほどはじいていることを表します。

試験結果をグラフ化し、実際の写真も併せてご覧ください。

 

 

 

 
アイライナーA   アイライナーB
     
 
アイライナーC   アイライナーD
     
   
 アイライナーE    
     
コラム
 ウォータープルーフとは、水に対して耐久性があることを意味します。耐水性や防水性とも呼ばれています。時計やスマートフォンなどの精密機械についても防水加工を施している製品はウォータープルーフと呼ばれていますが、化粧品では、汗・涙・皮脂などで化粧崩れが起こらないように耐水性を持つものがウォータープルーフ品とされています。
 化粧品、日やけ止め、ファンデーション、マスカラ、アイライナー、口紅などの水や化粧水に対する接触角を測定することでウォータープルーフの程度を評価することができます。