獣毛混用率(JIS L 1030-2)

概要
 家庭用品品質表示法で繊維の名称を示す場合において、動物繊維の分類中に「毛」が指定用語として決められています。この「毛」は更に「羊毛」、「モヘヤ」、「アルパカ」、「らくだ」、「カシミヤ」、「アンゴラ」などの指定用語を使用することが可能です。これらの動物種の鑑別を実施し、その混用率を求める試験が「獣毛混用率試験」です。
目的
家庭用品品質表示法に従い表示することが目的になりますが、一般的に「毛」と言えば羊毛(またはウール)を示すことになるため、カシミヤのような高級素材を使用していることを訴求するための試験を実施することが主目的となります。
試験方法
  1. ミクロトームで繊維を細かく裁断し、スライドガラス上に流動パラフィン等を用いて、繊維が均一に分散するようにカバーガラスで封入して観察用試験片とします。
  2. 観察用試験片上の繊維を光学顕微鏡の下で1本1本順次観察して、繊維の種類ごとに本数を測定します。全体の本数は1000本またはそれ以上とします。
  3. 別途繊維の種類ごとに繊維の直径を測定しておきます。測定本数は、繊維の種類ごとに原則100本以上とします。
  4. これら測定した獣毛繊維毎の本数に各々の直径と密度のファクターを加味し、以下の計算式により混用率を算出します(円形断面の繊維の断面積は、円周率×半径の2乗とする)。

             

A繊維の正量混用率(%)={(NA×AA×SA)/(NA×AA×SA+NB×AB×SB)}×100

B繊維の正量混用率(%)=100-A繊維の正量混用率

NA:A繊維の本数

AA:A繊維の平均断面積

SA:A繊維の密度

NB:B繊維の本数

AB:B繊維の平均断面積

SB:B繊維の密度

試験結果例

獣毛混用率(%)

 カシミヤ 90.5

 羊毛    9.5

外観写真

羊毛の外観】
 

【カシミヤの外観】