色泣き試験

概要

 「色泣き試験」とは、「濡れた状態での染料の移動による汚染の程度」を評価するものです。


目的

 黒色と白色の縞柄、赤色生地に白色の水玉柄のような異色濃淡の組み合わせ製品は、洗濯処理などで濡れた状態では、濃色部分などから染料が移動し、製品の白色部分や淡色部分などを汚染(移染)する可能性があります。衿が紺色、本体が白色のポロシャツを家庭で洗濯したら、衿付近の本体に紺色のにじみが生じたといったような経験されたことはありませんか?これは、紺色部分(衿部分)の染料が、洗濯処理で湿った状態にあったため、白色部分(本体)へ移動してしまったからです。この現象を”色”が”泣く”という意味で、「色泣き」と言います。

 

 そんな危険を事前に察知できるのが、「色泣き」試験です。


この試験は「大丸法」が通常使用されます。


試験対象品
  • 繊維製品
試験方法

 一般に、色泣き現象は濃色部分から淡色部分に向かうものが目立ちます(淡色部分から濃色部分へは、色が泣いても目立ちません)。試験片の作成は、試料が柄物の場合と無地物の場合で異なります。
 

  1. サンプリング
    • 無地物:試料を幅2.5cm×長さ3cmに切り出します。別に、製品で切り替えに使用する淡色生地(またはJIS既定の綿添付白布)を縦長に用意し、試料の一部と重ねて縫い合わせます(複合試験片)。
    • 柄物・縞柄:縞が横方向になるように切り出します。
    • 柄物・プリント:色泣きすると思われる部位の一部を下端として切り出します。
  2. ビーカー等に希薄な界面活性剤(洗剤)の液を入れておき、吊るした試験片の下端(複合試験片は試料側)を浸します。液が試験片の下端から上方向へと吸い上げられる際に、染色部分に残っている余分な染料などを一緒に吸い上げます。
  3. 一定時間(例:2時間)後、液から引き上げます。試験片の途中まで吸い上げられた液が乾燥すると”キワツキ”となります。この”キワツキ”部分の汚染の度合いを、汚染用のグレースケールで判定します。(キワツキ部分以外が濃色に泣いている場合は、その部分で判定します。)

 

 
試料が柄物の場合   試料が無地の場合
試験結果例
 「あり」、「僅かにあり」、「なし」の区分、または汚染用グレースケールで判定した実数値(1~5級)で判定します。「あり」は4級以下、「僅かにあり」は4-5級、「なし」は5級を意味します。