獣毛を対象とした混用率試験

 綿とポリエステルなど複数の繊維が使用された生地について、それぞれの繊維が混用されている割合「混用率」を調べる試験は、繊維の薬品に対する溶解性の違いを利用した溶解法などで試験することが多いですが、カシミヤ、アルパカのような獣毛繊維の混用率試験は、それぞれの繊維の薬品に対する溶解性に違いが無いためJIS L 1030-2 の顕微鏡法によって行っています。
 この方法は、顕微鏡の下で獣毛繊維の種類とその本数、直径を調べて混用率を算出します。おおまかな試験の流れを以下に記載します。

試験の流れ

 まず一定の重さの試料を計りとります。
 計りとった試料と水100mlを三角フラスコへ入れ、60分間40度で温めます。生地にホルムアルデヒドが含まれている場合は、ホルムアルデヒドが水へ溶け出してきます。この操作を”抽出”といいます。コンピュータの表計算ソフトの「抽出」と同じ意味合いで、液へ溶け出すものをぬき出します。
 そして、抽出した液に試薬を加えます。
 この試薬は、ホルムアルデヒドと反応すると発色して黄色になります。試料からホルムアルデヒドが多く抽出された場合には濃い黄色となります。この黄色の濃さの度合いを分光光度計という機器で測定します。

 ミクロトームで繊維を細かく裁断し、スライドガラス上に流動パラフィン等を用いて、繊維が均一に分散するようにカバーガラスで封入して観察用試験片とします。
 観察用試験片上の繊維を光学顕微鏡の下で1本1本順次観察して、繊維の種類ごとに本数を測定します。全体の本数は1000本またはそれ以上とします。また、別途繊維の種類ごとに繊維の直径を測定しておきます。測定本数は、繊維の種類ごとに原則100本以上とします。
 これら測定した獣毛繊維毎の本数に各々の直径と密度のファクターを加味し、右の計算式により混用率を算出します(円形断面の繊維の断面積は、円周率×半径の2乗とする)。

抽出

XA:A繊維の正量混用率(%)
XB:B繊維の正量混用率(%)
NA:A繊維の本数(個数)
NB:B繊維の本数(個数)
AA:A繊維の平均断面積
AB:B繊維の平均断面積
SA:A繊維の密度(g/㎥)
SB:B繊維の密度(g/㎥)

カシミヤの外観
羊毛の外観