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機能性物性値の組み合わせと人体温熱感覚との相関の検討

研究背景


カケンでは、既存のJIS規格試験では評価が難しい機能性繊維素材の性能評価、特に過渡状態での温熱特性に関わる性能評価に着目し、各機能性の発現機構に応じた試験・評価方法をご提案してきました。

これら試験・評価方法を業界で広くご利用いただく中で、試験結果と実用性(体感)の関係性についてご質問を頂く機会が増えてきました。

そこで、温熱に関わる機能性素材、特に今年度は吸湿発熱素材に着目し、試験機器を用いた生地の各種物性値の測定と、着用時の着用感に関する官能評価を行い、生地の試験結果と実用性(体感)の関係性について検証しました。


概要


2010年秋冬物として市販されていた肌着を中心に試料を収集し、吸湿発熱素材、比較試料として綿ポリエステル混の吸汗速乾素材、ポリエステル100%の吸汗速乾素材、そして特に加工を謳っていない綿100%肌着を供試試料としました。

これら試料について、熱抵抗、吸湿発熱上昇温度、q-max値など温感に関わるであろう各種物性値を測定し、さらに冬場の室内を想定した20℃×40%RH環境下で弊財団の20代〜30代の男性職員による着用実験を行いました。着用実験は着用時および着用中の肌触り、温感についてユーザーの視点でのSD法による官能評価で行いました。

得られたデータを主成分分析および重回帰分析で解析した結果、着用時の肌触り・温感については、q-max値が大きく、表面粗さが小さく、生地の吸湿性の高い試料ほど、「滑らか」で「接触冷感」が大きい傾向が見られました。また、着用中の「あたたかさ」については、熱抵抗が大きく、かつ吸湿発熱性が高い試料ほど「あたたかい」という傾向が見られました。

以上のことから、熱抵抗(=保温性)を高め、接触冷感を抑えつつ吸湿発熱性を確保するような繊維組成にすることで、着用時、着用中を通してより「あたたかい」肌着になる可能性が示唆されました。


まとめ


吸湿発熱素材の「あたたかさ」についてより実際の体感に近い評価を行うためには、吸湿発熱性のみではなく保温性と合わせて評価することが重要であることがわかりました。

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