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毛皮(ファー)、天然皮革等のDNAによる種の鑑別

はじめに


毛皮や天然皮革の主な鑑別方法としては、厚さ、大きさ、色や柄、毛並み、艶、感触など外観を観察して鑑別する方法があります。これは長年の経験が必要になりますが、客観的・科学的根拠に乏しいため説得力に欠けます。

毛穴配列、断面構造、毛小皮紋理、毛髄質などを顕微鏡で観察して鑑別する方法は、現在の主な方法ですが、経験が必要であり判別を迷うケースも多々あるようです。残念ながらカケンには経験者がいないため現在では種の鑑別はおこなえていません。

DNAによる鑑別は科学的根拠に基づくため説得力がありますが、欠点は専門知識、装置、初期コストが必要な点です。幸いにカケンでは、平成10年より獣毛DNA鑑別の研究を行なっているため知識、経験、設備が揃っています。

そこで本研究では、毛皮(ファー)、天然皮革、その他の毛について、リアルタイム PCR 法による種の鑑別の可能性を検討することを目的としました。


概要


  • 天然皮革のDNA鑑別
  • 牛革、豚革、羊革、山羊革を測定対象とし、ウシ、ブタプライマーは新たに設計し、ヒツジ、ヤギプライマーは獣毛鑑別用のプライマーを用いて検討しました。

  • 毛皮のDNA鑑別
  • キツネ、ミンク、セーブル、オポッサム、ラクーン、タヌキ、イヌ、ネコ、ウサギを測定対象とし、プライマーは全て新しく設計し検討しました。

  • その他の毛の鑑別
  • 獣毛DNA鑑別で、新たにアルパカ、キャメルを測定対象に加え、アルパカ、キャメルプライマーを新たに設計し、ヒツジ、ヤギ、ヤクプライマーは既存のプライマーを用いて検討しました。また、人毛とアルパカを鑑別の対象とし、ヒトプライマーを設計し、アルパカは今回作成したアルパカプライマーを用いて検討しました。


結果


  • 4種間のプライマーの特異性を確認しました。このプライマーを用いて各種天然皮革を測定しましたが、DNAが検出できたのは試料18点中、非クロムなめし革の2点だけでした。DNAが検出されにくい原因として、皮革の製造工程でコラーゲン以外を除去されてしまうこと、薬剤処理によりDNA損傷されている可能性が挙げられます。
  • 任意に分類した高級品(キツネ、ミンク、セーブル、オポッサム)4種間および汎用品(ラクーン、タヌキ、イヌ、ネコ、ウサギ)5種間でのプライマーの特異性を確認しました。このプライマーを用いて各種毛皮を測定しましたが、DNAを検出できる試料もありましたが、検出されない試料もありました。
  • 獣毛5種間のプライマー、およびヒトとアルパカ間のプライマーの特異性を確認しました。髪の毛1本とアルパカ単繊維を測定したところ、髪の毛には検出されない試料がありました。

まとめ


今回作成したプライマーについて、クロス反応を確認した種間において鑑別が可能となりました。

しかしながら、DNAが必ず検出されるわけではありませんので、顕微鏡による形態学的鑑別方法の補助的手法でこそ活きる方法であると考えます。

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