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獣毛中のDNAの定量による混用率の算出(続報)

昨年度に引き続き、今年度は実際の毛(未加工整毛、試買品他)を用いてリアルタイムPCR法による混用率算出の可能性を検討しました。


混用率が繊維重量から算出されるものであることから、検討に際しての重要点は、リアルタイムPCR法の定量値である「DNAコピー数」と「獣毛重量」の関係性を明確にすることです。


既知の各種獣毛(未加工整毛)を任意の割合で混合し、DNAコピー数と獣毛重量の関係について検討したところ、やや強い正の相関があることがわかりました。この回帰式を検量線とし、様々な試料(わた・糸・生地、未加工・淡色・濃色など)についてDNAコピー数から混用率を算出しましたが、顕微鏡法と結果の大きく異なる試料が多数ありました。


そこで、出所の異なる複数の未加工整毛および試買品について、同一動物種・同一獣毛重量でのDNAコピー数を比較したところ、未加工整毛、試買品ともにDNAコピー数の大きく異なる試料の存在することが認められました。


以上のことから、既知試料よりDNAコピー数と獣毛重量の関係式は得られますが、この関係式は同一動物種であっても、出所、加工履歴等の異なる未知試料全てに適用できるものではないことがわかりました。また、混用されている未知試料が関係式から外れる試料なのかどうか、試験成立の可否を判断する方法も現状ではありません。


よって、様々な未知試料を取り扱う繊維検査業務において、リアルタイムPCR法を獣毛混用率の補完法とするには、非常に大きなリスクを伴うことが示唆され、現状では実用的でないと考えられます。

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