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ISO 11092に基づいた衣服内環境シミュレーション装置の開発

研究背景


着衣状態における衣服の放熱特性を決定する要因として、発汗による水分の影響が大きい事は既に広く知られています。 海外では水の蒸発による熱放散を加味した試験方法としてISO11092が制定され、業界では定番試験方法の一つとして運用されています。

そこで、国内検査業界に先駆けてISO11092準拠の装置を導入し、生地の熱・水分移動の評価方法について検討しました。


概要


国内試験機器メーカーの試作機をベースにカケンにて改良を行い、ISO 11092完全対応機を完成させました。

ISO 110192関連規格であるASTM F1868準拠の校正用標準布を用いた測定結果より、規定の性能を有することが確認できました。また、透湿抵抗既知の試料について測定を行い、海外試験機関の測定結果と同等の結果が得られました。

一般的な衣料用生地について、従来の保温率(KES法)とASTM F1868 PartCで比較実験を行い、重要な知見が得られました。いずれも顕熱移動のみを検出する試験条件である保温率(KES法)とASTM F1868熱抵抗Rcfの間には非常に高い相関が見られました。潜熱移動のみを検出するASTM F1868透湿抵抗RefAでも、コーティングのない素材については保温率(KES法)との相関が認められましたが、コーティング布帛については独特の傾 向を示すことが分かりました。

また、潜熱移動と顕熱移動を合わせて検出する総熱損失Qtについてその内訳をみると、コーティング布帛は他の素材に比べて潜熱移動を積極的に抑えており、総熱損失ではフリースと同等であることが分かりました。


ASTM F1868熱抵抗Rcf

【ASTM F1868熱抵抗Rcf】


ASTM F1868透湿抵抗RefA

【ASTM F1868透湿抵抗RefA】


総熱損失Qt

【総熱損失Qt】


ウィンドブレーカーのような薄手のコーティング布帛を用いた衣料は薄手でも非常に暖かいことが経験的に知られていますが、現在国内で主流であるJISあるいはKES等の保温性試験は顕熱移動しか考慮しない試験条件であるため、コーティングによる暖かさを数値として検出できませんでした。

しかし、今回導入したISO11092対応装置を用いて顕熱移動・潜熱移動を合わせて測定することで、その特性を検出できることが分かりました。


【備考】

顕熱移動:放射、伝導・対流による乾性の熱移動。

潜熱移動:水分の蒸発、水蒸気の移動等による湿性の熱移動。

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