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遠赤外線再放射法試験方法の調査研究

ここ数年、再び遠赤外線効果を謳った商品がブームとなっています。これはアジア諸国においてセラミック練り込み型のアクリル繊維が生産されていることと無関係ではないと思われます。

一般に遠赤外線利用技術は、温度領域によって2つに分類することが出来ます。一つは高温域(数百度以上)であり、もう一方は低温域(常温域)での利用技術です。

この中でも、高温域での応用は盛んで様々な分野で利用されています。身近なところでは暖房器具や調理器具などが挙げられます。一方の低温域(常温域)での応用は様々であり、その効果についても様々な宣伝がなされているのが現状です。

ここでもう一度考え直す必要がある事柄として、 遠赤外線はある波長領域の電磁波であり、あらゆるものに効果がある"魔法の光線"では無いという点と、その電磁波が作用することによって生じる物理的な効果がドミノ式に連鎖して生理的な効果へとなる課程は全く解明されていないのが現状です。


試験機の概要


遠赤外線再放射法試験機

本測定装置は平成9年度の遠赤外線用セラミックス系素材の試験評価方法の標準化委員会,分科会により検討され,当センターと(社)遠赤外線協会の協力により製作されたものです。

ヒーター面は特殊アルマイト処理が施され、学習機能付きのコントローラーにより制御されています。8時間以上の連続運転でも、ヒーター面は±0.1℃以下の変動に収まる安定したヒーターです。従って、均一に試験試料を加熱でき、従来の45度再放射パラレル法よりもバラツキが少なく、試験試料の周辺環境から の影響の少ない安定した条件で測定できる装置になっています。



試験手順


  • NETの測定台に試料を配置します。
  • 循環水を所定の温度(20℃)に調整し、水冷ジャケットを一定温度に保ちます。
  • 測定室を所定の温度、湿度になるように調整します。
  • コントローラーを90℃に設定、ヒーターを十分に昇温し、一定温度にしておきます。
  • ヒーターをスライドさせ、連続的に画像を取り込みます。
  • ヒーターで加熱する直前、直後、10秒後、30秒後、60秒後、120秒後の画像を取り出し、測温領域を指定し、平均表面温度を測定します。
  • 次に、加工サンプルと未加工サンプルの配置を左右入れ換えて再度、「項番5」から測定を行います。
  • 測定結果より、回帰式外挿法によりT∞を算出します。
  • 次に、得られた特性値に対し試行回数、測定対象の配置(左右)、種類(未加工サンプルと加工サンプル)を因子として割り当て、3元配置の繰り返しのある分散分析を行います。
  • 試行回数による効果(実験繰り返し性が確保されていることを確認)、測定対象の配置による効果(配置による効果が無いことを確認)それぞれが無いことを確認(配置による差は無く加熱されている)し、未加工サンプルと加工サンプルの特性値に差があるか確認します。

また遠赤外線協会指定の検定方法による検定も行い、以下の基準に基づいて判断をします。これらは暫定基準ですので、将来変更される可能性があります。


評価項目 測定方法 備考
遠赤外線放射特性 遠赤外線分光放射率(または分光放射輝度) FT-IR 4〜20umの波長範囲を含む未加工品との比較データ
再放射特性 45度パラレル再放射法 製品、中間製品(材料布)
温度特性 皮膚温度 サーモグラフィ 試験試料・検体・環境条件が使用状態に近似でき、かつ相関が明確な実験計画によること
その他 モニターテスト

ここ数年、再び遠赤外線効果を謳った商品がブームとなっています。これはアジア諸国においてセラミック練り込み型の繊維が生産されていることと無関係ではないと思われます。また「遠赤外線」に関する様々な商品がいままでも上市されており、それに応じて様々なイメージが確立されている点で、取り扱いが難しい商品となっているかもしれません。


捕捉


遠赤外線波長領域の定義については、学問分野により若干の相違があるように思われます。

例えば、理学・電波関連の分野では25〜30μmを下限として用いる場合が多く、遠赤外線加熱の分野では、2.5〜5.6μmを下限として用いる場合が多いように思われます。

従って、同じ遠赤外線効果の利用技術に関係した研究者同士でも、その分野によって多少のズレが生じるので十分に注意しておく必要があります。

一言で「遠赤外線」と言っても、それぞれの研究者・技術者によりターゲットとしている波長範囲が異なっていることもあり、その効果についても当然異なってくるので十分に確認する必要があります。


波長図

(社)遠赤外線協会においては3〜1000μmの波長領域の電磁波を遠赤外線と定義しています。そして、繊維製品における遠赤外線効果を評価するときには、4〜20μmの波長領域を利用して放射特性評価を行うこととなっています。

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