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フィブリル化の評価方法の検討

レーヨンや精製セルロースのようなセルロース系繊維や絹のようなフィブリル化を起こし易い繊維製品は着用時のスレや洗濯時の摩擦による白化現象が起こり、市場クレームになることがあります。

この白化クレームは適切な評価方法については公表されたものが未だ存在しない状況にあり、当センターではフィブリル化・白化現象の評価方法と基準作りを平成7年度の研究テーマに取上げ、摩擦による繊維の白化現象を外観変化の目視判定は勿論、摩擦表面の顕微鏡観察や反射率の変化について検討した結果をご紹介します。


試験方法


試料は市場白化クレーム品を含めて絹及び絹/綿混製品5種類、精製セルロース製品5種類、ポリエステル及びポリエステル混製品5種類の合計15種類を使用しました。

摩擦試験は摩擦試験機II型(JIS L 0849)を用い、湿潤状態の添付白布(JIS L 0803)を摩擦布として、標準摩擦回数を100、200、300、500、1000及び1500回にして行いました。

摩擦試験後の試験片を変退色の級判定(JIS L 0801)に従い、グレースケールによる外観目視判定、分光光度計による反射率測定及び光学顕微鏡観察を行いました。


試験結果


摩擦白化の目視級判定結果は絹で2-3級〜4級、セルロース系で1-2級〜4級弱、ポリエステル系で3〜5級前後になり、多くのデータは摩擦回数200回 以上で2-3級〜3-4級程度に集中する傾向がありますが、一部絹や精製セルロース製品などで1-2級〜2級まで極度に白化が進みます。

目視級判定は個人差が出ますが、摩擦白化現象の迅速な判定法になり得ます。

各摩擦回数に於ける分光光度計で求めた波長400〜700nmの反射率の初期値に対する変化率を、


反射変化率=(白化部の反射率−未処理部の反射率)÷白化部の反射率×100

と定めますと、この反射変化率は一般に摩擦回数と共に増加する傾向があり、白化現象をある程度定量的に数値評価できることが判明しました(反射率曲線を図-1に示します)。

反射変化率の波長依存性は生地の色調の影響を強く受けますが、ほとんどの色調で長波長側に比べて中〜短波長側(300〜400nm)で反射率の増大が著しいことが示されました。


反射率の波長依存性01 反射率の波長依存性02 級数判定結果の摩擦回数依存性 反射変化率の摩擦回数依存性


代表的な試料の級判定結果及び反射変化率の摩擦回数依存性を図-2及び図-3に示しましたが、k記号は市場クレーム品であることを意味します。

生地の表面の顕微鏡観察では、摩擦により繊維のフィブリ・毛羽の発生と増加、毛羽の絡まりと白化毛玉の生成と増加、経糸のスレ・平坦化による織り目のつぶれ、毛羽の脱落による白化の減少や内部繊維の露出、これらの現象の繰り返しなどの複雑な現象の組合わさった結果を見ているものであることが確認できました。




以上の検討結果を踏まえて、当センターでは繊維製品のフィブリル化・白化現象の評価方法・基準の目安として、湿潤添付白布を摩擦布とし自然乾燥の試料を用いて摩擦試験機・型での摩擦試験200回及び500回で反射変化率60%以上、グレースケールの級判定で3級未満になる繊維製品は市場白化クレームになる可能性が高いと考えています。

しかし、今回試験した試料は市場製品のほんの一部であり、市場白化クレームの現象の1モデルでの試験でもありますので、更に種々の市場サンプルについての検討を今後も続けていくことが必要と思われます。

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