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いよいよ暑い夏が今年もやってきます。気温が高いと汗も自然とにじみ出てきて、ハンカチやタオルが手放せません。こんな時、人混みの中で自分や他人の「汗のにおい」が気になる人もいらっしゃるのではないでしょうか?
日本人は淡白な和食生活や入浴習慣などから、体臭は極めて薄いといわれていますが、年々高まりつつある清潔志向の影響か、消臭加工や抗菌防臭加工などの衣料品にも関心が高いようです。
それでは今回は「におい」について勉強していきましょう。
1.においとは
においの感覚(嗅覚)とは、「空気中に浮遊する有機・無機化合物の分子の一部が鼻の穴(鼻孔)から入り、鼻腔(鼻孔内の空間)の最上部にある嗅上皮の感覚細胞の一部に吸着されると、その細胞が興奮し、分子のもつ化学的情報が電気的信号に変換されて、脳に伝送され、大脳の嗅覚領に達すると起こる感覚」のことです。汗のにおいを感じるとは、汗のにおいの原因物質が鼻の中の「においを感じる部分」に付着することで、脳に情報が伝達されて汗のにおいを感じるのです。
2.嗅覚の特性
(1) 鋭敏さ
においのする気体を無臭の空気で薄めていくと、ある濃度でにおいを感じなくなります。このように、においを感じるためのにおい物質最少量を閾値(いきち)といいます。閾値はにおい物質の種類によって異なります。例えば、悪臭物質であるメチルメルカプタン(たまねぎの腐乱臭)は、同じ悪臭物質であるアンモニアの1/1000の量でもにおいを感じるとの報告例があります。また、閾値には個人差があり、同一人物でも体調に影響されますし、同じ日でも朝と夜で微妙に感じ方が違ったりもします。
(2) 強さ、質、快不快
においの強さは日本では6段階で表現されています(6段階臭気強度表示法 表1)。におい物質の濃度が極めて薄い場合の「無臭(臭気強度0)」から、におい物質の濃度が上がるにつれにおいを感じるようになり、最終的には「強烈なにおい(臭気強度5)」になります。また、におい物質の濃度を上げ(下げ)ていくとにおいの質が変化する物質があります。例えば悪臭物質のインドール(糞臭)は、高度に薄めると花の心地よいにおいに変化します。
においは強さだけでなく快・不快の感覚も伴います。そしてどんなに良いにおいでも、濃度を上げていくと全て不快と感じるようになります。においの快・不快は9段階で表現されます(9段階快・不快度表示法 表2)。
表1 6段階臭気強度表示法
臭気 強度 |
内容 |
0 |
無臭 |
1 |
やっと感知できるにおい(検知閾値濃度) |
2 |
何のにおいであるかがわかる弱いにおい(認知閾値濃度) |
3 |
らくに感知できるにおい |
4 |
強いにおい |
5 |
強烈なにおい |
表2 9段階快・不快度表示法
快・不快度 |
内容 |
+4 |
極端に快 |
+3 |
非常に快 |
+2 |
快 |
+1 |
やや快 |
0 |
快でも不快でもない |
−1 |
やや不快 |
−2 |
不快 |
−3 |
非常に不快 |
−4 |
極端に不快 |
(3) においの順応
美味しそうなにおいのする飲食店に入ってしばらくすると、はじめに感じた美味しそうなにおいをいつの間にかあまり感じなくなっているという経験はありませんか?これがにおいの順応といわれる現象です。悪臭環境でも同じように平気でいられるようになりますが、有毒ガスが徐々に蔓延しているような環境ではにおいを感知できないため、ガス中毒になる恐れもあります。
(4) においの記憶
今まで忘れていた記憶が、あるにおいを嗅ぐことによって、それに関係のあった過去のことを連想して思い出が蘇ってくることはありませんか?このにおいの記憶は、まだそのメカニズムが完全に解明されてはいませんが、多くの方が経験したことのある嗅覚の特別な働きの一つではないでしょうか。
参考 匂いの科学
ハンドブック悪臭防止法
財団法人日本化学繊維検査協会 |