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衣料品・インテリア

APPAREL / INTERIOR

帯電性試験

静電気

静電気を現象として捉えた時、衣服のまとわりつきや車のドアに手を掛けた時にバチッと放電することはよく経験されていることでしょう。これらの現象は日常経験することはあっても「静電気とはそもそも何ですか?」というと、なかなか説明に窮するのではないでしょうか。

静電気は、ある空間に閉じ込められた電気の偏りと考えられます。摩擦やはく離等によって電気的に偏った状態になると、その偏りを少しでも解消しようとして、近くのものにまとわりついたり、放電する現象がみられます。

帯電防止

帯電防止(制電)製品は、繊維に帯電防止剤を練り込んだり、後加工で繊維や繊維製品の表面に帯電防止剤を付与したり、導電性繊維を使用することで、静電気発生を抑制したり、電荷の消失を促進させたりして静電気を帯びることを防いでいます。

この帯電防止効果を確認するため、静電気の逃げやすさ、発生のしやすさ、電気抵抗等の検査を実施しています。

試験の種類

一般衣料品の帯電試験(試験規格:JIS L 1094 摩擦帯電圧、半減期、摩擦帯電電荷量、摩擦帯電減衰等)

一般衣料品の帯電試験は、主に半減期(S)と摩擦帯電圧(V)を測定しています。導電性繊維を使用した生地などは、一般的に摩擦帯電電荷量測定法を用いています。

下記表にJIS L 1094の試験方法を紹介いたします。下記以外にもクリンキングや表面漏えい抵抗の測定を実施しています。

織物及び編物の帯電性試験方法(JIS L 1094) 試料サイズ
半減期測定法 試験片に10kVの電圧を印加した後、帯電圧が½に減衰するまでの時間(秒)を測定します。 30cm×30cm
摩擦帯電圧測定法 試験片を回転させながら摩擦布(綿・毛等)で摩擦し、発生した帯電圧(V)を測定します。 40cm×40cm
摩擦帯電電荷量測定法 <生地の場合>試験片を摩擦布(ナイロンとアクリル)によって摩擦し、発生した電荷量(μC/㎡)を測定します。 110cm×110cm
摩擦帯電減衰測定法 試験片を摩擦布(綿・毛等)によって摩擦し、発生した初期帯電圧(V)と半減期(秒)を測定します。 80cm×80cm

【試験結果の見方】

試験項目 評価の目安
半減期・摩擦帯電圧 <一般的な基準値>「半減期10秒以下かつ摩擦帯電圧3000V以下」または「半減期30秒以下かつ摩擦帯電圧1500V以下」

帯電防止作業服やクリーンルーム等で使用する衣料品の帯電試験(試験規格:JIS T 8118、IEC 61340-5-1 TR2等 )

【静電気対策】

静電気による放電によって、火災・爆発を伴う事故や半導体デバイスの破壊などを起こすことがあります。このような現象を抑えるために、可燃物質を扱う工場や半導体工場等の作業者は、静電気対策として導電性繊維を生地に使用した衣服を使用しています。下記表に帯電防止作業服などの試験方法を紹介いたします。

静電気帯電防止作業服(JIS T 8118) 試料サイズ
摩擦帯電電荷量測定法 <生地の場合>試験片を摩擦布(ナイロンとアクリル)によって摩擦し、発生した電荷量(μC/㎡)を測定する。 110cm×110cm
<製品の場合>摩擦布(ナイロンとアクリル)を張ったタンブル乾燥機内で試料を摩擦し、発生した電荷量(μC/着)を測定する。 1着
静電気現象からの電子デバイスの保護(IEC 61340-5-1 TR2) 試料サイズ
衣類の試験のための抵抗測定法(*)

絶縁板の上に広げた衣類の表面に2つの電極を設置して一定の電圧を加え、この電極間に流れる電流を測定し電気抵抗を求める。

※試験環境:23℃、25%RHにて対応可能。

生地:50cm×50cm

製品:1着〜

防護服−静電特性 表面抵抗率(BS EN 1149-1) 試料サイズ
表面抵抗率 リング電極を用いて試験片に直流電圧を印加し、直流電流を測定して表面抵抗率(Ω)を求める。 40cm×40cm

【試験結果の見方】

試験項目 評価の目安
摩擦帯電電荷量 <JIS T 8118 帯電防止作業服>「生地 → 7μC/㎡ 以下」「製品 → 0.6μC/着 以下」
電気抵抗 <IEC 61340-5-1 TR2>「1×1012 Ω 以下」
表面抵抗率 <BS EN 1149-1:1995>「全体に均質な材料 → 5×1010 Ω 未満」「導電糸を格子状(10㎜間隔以下)に入れた不均質な材料 → 1×109 Ω 未満」

【衣類の試験のための抵抗測定法(*)】

電子機器の製造現場では、静電気放電による電子部品の破壊や不具合発生等の障害を防ぐため、静電気管理が必要とされています。

カケンでは従来より、JIS T 8118「静電気帯電防止作業服」による帯電電荷量測定試験を行なっていますが、この度、静電気管理の準国際規格であるIEC(International Electrotechnical Commission) 61340-5-1 TR2「静電気現象からの電子デバイスの保護 — 一般要求事項」の付属書A.3「衣類の試験のための抵抗測定法」に基づく試験を開始いたしました。

試験は、絶縁板の上に広げた衣類の表面に2つの電極を設置して一定電圧を加え、この電極間に流れる電流より電気抵抗を測定するという方法です(写真)。

この規格では、衣類の全ての部分で電気的な導通性が必要とされているため、身頃部分と袖部分、身頃部分とフード部分等、縫い目部分の導通性が重要となっています。試験では、縫い目を挟んだ位置に設置した電極間の点間抵抗(R)を測定します。また、この規格では、R≦1×1012 Ωとして基準値が設定されています。

電気抵抗測定(繊維・ゴム・プラスチック材料等)、床・カーペット等の帯電試験(試験規格:JIS K 6911、JIS A 1455 、JIS A 1450 、JIS L 1021-16等 )

【電気抵抗測定】

カケンでは電気抵抗の測定や床材料の試験も実施しています。下記表にてご紹介いたします。

電気抵抗の測定項目 電気抵抗の測定方法 規格番号 試料サイズ
表面漏えい抵抗測定法 短冊状試験片の両端に直流電圧1000V(又は10V)を印加し、1分経過後の直流電流を測定して電気抵抗(Ω)を求める。 JIS L 1094 の参考部分 40cm×40cm
表面抵抗率 リング電極を用いて試験片に直流電圧500Vを印加し、1分経過後の直流電流を測定して表面抵抗率(Ω)を求める。 JIS K 6911、BS EN 1149-1等 40cm×40cm
体積抵抗率 厚さ方向に電極を設置し試験片に直流電圧500Vを印加し、1分経過後の直流電流を測定して体積抵抗率(Ω・cm)を求める。    
床や敷物、フリーアクセスフロア等の試験 規格番号 試料サイズ
人体帯電圧測定法 試験片上を歩行し、人体帯電圧(V)を求める。 JIS L 1021-16 100cm×100cm相当
帯電防止性能評価(U値) 床研式帯電試験機を用いて最大帯電電位(V)と半減時間(秒)を測定し、それらの値から帯電防止性能評価値(U値)を求める。 JIS A 1455 30cm×30cm以上の床材を5点以上
漏えい抵抗測定 床表面と接地間に電極を設置し、一定電圧を加えてこの電極間に流れる電流を測定し、電気抵抗(Ω)を求める。 JIS A 1450 30cm×30cm以上の床材を5点以上

帯電豆知識

着る洋服の素材の組み合わせ方により、静電気の発生しやすさが変わってきます。これらの素材同士の静電気の発生しやすさを並べたものに、摩擦帯電列があります。(下図参照)

この摩擦帯電列の中で、お互いの距離が遠い素材(+側と−側に離れている素材)を組み合わせると、静電気が発生しやすくなります。例えば、アクリル製品の下に羊毛(ウール)製品を着用する場合は、大きな静電気を生じることになります。帯電列表でなるべくアクリルに近い位置の素材のインナーを着用するようにすると、静電気が生じ難くなります。

なお、静電気は発生する条件は、素材の組み合わせだけでなく、周囲の湿度や生地表面の形状などの要因が影響します。また、着用中に衣料品がまとわりつく場合は、市販の静電気防止用スプレーの使用なや水洗い可能な製品であれば、洗濯時に柔軟剤を使用することも有効な方法です。

*帯電系列は純粋な物質から求めたものであり、生地の表面状態や不純物、加工処理などで当てはまらないことがあります。