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特定芳香族アミン類の分析


日本では従来よりホルムアルデヒド、ディルドリン、有機水銀化合物などの有害物質について規制・基準が設けられています。諸外国でも安心・安全についての関心の高まりがあり、法規制により規制対象となっている化学物質があります。


その中の一つがアゾ色素です。正確には、 アゾ色素中のアゾ基が還元分解されて発がん性のある芳香族アミン(「特定芳香族アミン類」)を生成する可能性がある、一部のアゾ色素が規制対象になっています。EU諸国や中国、韓国、台湾では既に法規制されており、アジア諸国にも規制化の動きが出始めています。


このような動きの中、厚生労働省は2015年4月8日「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律第2条第2項の物質を定める政令の一部を改正する政令」を公布しました(2016年4月1日から施行)。これにより、「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律(昭和48年法律第112号)」に規定する有害物質として、新たに、アゾ化合物※(特定芳香族アミン類を生成するもの)が指定されました。(※:ここでいうアゾ化合物とは「アゾ染料」を示します)

 

アゾ染料とは?

 

化学構造式で【−N=N−】と表記される構造をアゾ基と呼びます。化学記号で「N」は窒素を表し、「−」「=」は結合の本数を表します。アゾ基は窒素「N」が二重結合で結ばれた構造を有しています。

したがいまして、化学構造式に【−N=N−】を有する染料のことを「アゾ染料」と称します。


特定芳香族アミンとは?


アゾ染料中のアゾ基が還元分解されて生成される芳香族アミンの内、検出対象となる発がん性が指摘されている芳香族アミンを指します。

一般に「特定芳香族アミン」と称されているのは、下記の24種類です。


特定芳香族アミン一覧表 (下記名称は一例であり、別の名称で表現されることがありますので、CAS No.でご確認願います)


項番 CAS No. 英語名称 日本語名称
1 92-67-1 4-aminobiphenyl;biphenyl-4-ylamine 4-アミノビフェニル;ビフェニル-4-イルアミン
2 92-87-5 benzidine ベンジジン
3 95-69-2 4-chloro-o-toluidine 4-クロロ-ο-トルイジン
4 91-59-8 2-naphthylamine 2-ナフチルアミン
5 97-56-3 ο-aminoazotoluene ο-アミノアゾトルエン
6 99-55-8 2-amino-4-nitrotoluene;5-nitro-ο-toluidine 2-アミノ-4-ニトロトルエン;5-ニトロ-ο-トルイジン
7 106-47-8 p-chloroaniline;4-chloroaniline p-クロロアニリン;4-クロロアニリン
8 615-05-4 2,4-diaminoanisole;4-methoxy-m-phenylenediamine 2,4-ジアミノアニソール;4-メトキシ-m-フェニレンジアミン
9 101-77-9 4,4'-diaminodiphenylmethane 4,4'-ジアミノジフェニルメタン
10 91-94-1 3,3'-dichlorobenzidine 3,3'-ジクロロベンジジン
11 119-90-4 3,3'-dimethoxybenzidine 3,3'-ジメトキシベンジジン
12 119-93-7 3,3'-dimethylbenzidine 3,3'-ジメチルベンジジン
13 838-88-0 3,3'-dimethyl-4,4'-diaminobiphenylmethane 4,4'-methylenedi-ο-toluidine 3,3'-ジメチル-4,4'-ジアミノビフェニルメタン 4,4'-メチレンジ-ο-トルイジン
14 120-71-8 p-cresidine;6-methoxy-m-toluidine p-クレシジン;6-メトキシ-m-トルイジン
15 101-14-4 4,4'-methylene-bis-(2-chloroaniline) 4,4'-メチレン-ビス-(2-クロロアニリン)
16 101-80-4 4,4'-oxydianiline 4,4'-オキシジアニリン
17 139-65-1 4,4'-thiodianiline 4,4'-チオジアニリン
18 95-53-4 ο-toluidine ο-トルイジン
19 95-80-7 2,4-toluylenediamine;4-methyl-m-phenylenediamine 2,4-トルイレンジアミン;4-メチル-m-フェニレンジアミン
20 137-17-7 2,4,5-trimethylaniline 2,4,5-トリメチルアニリン
21 90-04-0 ο-anisidine ο-アニシジン
22 60-09-3 4-aminoazobenzene 4-アミノアゾベンゼン
23 95-68-1 2,4-xylidine 2,4-キシリジン
24 87-62-7 2,6-xylidine 2,6-キシリジン

アゾ基の還元分解とは?


化学的には正確な表現ではありませんが、還元分解とは水素と結合することによる多重結合(ここではアゾ基の二重結合)の開裂を表します。

言葉で表現すると難しく聞こえますので、一例を図で表します。


20120423_amine_sample.png

 

この例では、アゾ染料「Congo Red」を還元することにより、2ヶ所のアゾ基の結合が還元分解して特定芳香族アミン「Bendizine」と別の芳香族アミンが生成されています。


【補足説明】

色素を表す「C.I.」は「カラーインデックス」といい、英国染料染色学会(The Society of Dyers and Colourists:SDC)と米国繊維化学技術・染色技術協会(The American Association of Textile Chemists and Colorists:AATCC)が共同で管理している、色素・着色剤(染料と顔料)及び関連化合物について分類したデータベース(6,000種類以上)に登録されている名称です。

化学物質を表す「CAS No.」は「キャスナンバー」といい、化学物質に付けられた固有の識別番号です。CAS(Chemical Abstract Service)は、米国化学会の一部門で、化学情報の最大にして、最も包括的なデータベースを作成しています。


特定芳香族アミンの分析方法は?


規制・基準によって試験方法は異なりますが、基本的な原理は同じです。


  • EN 14362-1
  • EN 14362-3
  • ISO 17234-1
  • ISO 17234-2
  • GB/T 17592
  • GB/T 23344
  • GB/T 19942
  • §64 LFGB BVL B82.02-2
  • §64 LFGB BVL B82.02-3
  • §64 LFGB BVL B82.02-4
  • §64 LFGB BVL B82.02-9

等の試験方法があります。

一例としてEN 14362-1(天然繊維、分散染料不使用)の手順についてごく簡単に説明します。


【サンプリング】 糸、生地あるいは製品から試料の裁断
【還元分解】 試料をクエン酸緩衝液中、70℃で還元剤(ハイドロサルファイト)処理
【精製】 水酸化ナトリウム溶液を添加し、遊離したアミンを珪藻土カラムとt-Butyl Methyl Etherを用いて液-液抽出
【測定】 抽出液を濃縮後、残渣を適当な溶媒に転溶し、ガスクロマトグラフー質量分析計・高速液体クロマトグラフを用いてアミンを定量


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