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滑脱抵抗力試験


「滑脱抵抗力試験」とは、「縫い目部分の生地糸が滑脱する程度」を評価するものです。


滑脱


滑脱の様子

繊維製品には様々な部位に縫い目があります。この縫い目が滑って開いたり、縫い代が抜けてしまう現象を「滑脱」といいます。

着用の際に強い力が加わり、尻縫いやアームホールなどが滑脱してしまったことはありませんか?

これは、尻縫いやアームホールの縫い目部分の滑脱に対する抵抗力が低く、加わった力の作用で縫い目部分の糸が滑って抜けてしまったからです。



試験


滑脱試験方法

試験方法はいくつかありますが、実際に試験をすることが多いのは、縫い目を作製しその縫い目の滑脱抵抗力をみる「縫目滑脱法B法」です。


  • 生地から10×17cmの大きさの試験片を10枚切り出します。このとき5枚は縦長に、5枚は横長に切り出します。
  • それぞれの試験片の表面が中になるように長さ方向で半分に折ります。それぞれの試験片を折り目で二つに切り、切り端から1cmのところをミシンで本縫いします。本縫いした後開くと、試験片の大きさは10×15cmとなります。
  • 開いた試験片を試験試料がたて長になるように(縫い目が水平になるように)試験機に取り付けます。試験機には上下にそれぞれ生地を掴む部分があり、縫い目の上側の生地と下側の生地を掴んで、力(※)を加えて垂直方向に引っ張ります。
  • 力を加えた後、試験機から試験片を取り外して1時間待ちます。そして、縫い目の滑脱の程度(縫い目両側の開いた孔の大きさ)を0.1mmまで測定します。

※一般に、このとき加える力はブラウスのような薄い生地の場合は49.0N、スラックスのような厚い生地の場合は117.7Nです(Nは「ニュートン」という力の単位で、1kgfがおおよそ9.8N)。


判定


試験結果は縫い目の両側の孔の大きさの合計で、たて方向、よこ方向それぞれ5回の平均を計算します(たて方向の滑脱とは「たて糸上のよこ糸の滑脱」をいい、よこ方向の滑脱とは「よこ糸上のたて糸の滑脱」をいいます)。


数値は小さいほど滑脱しにくいことをあらわします。例えば、「縫目滑脱法B法 (117.7N) たて1.0mm、よこ1.2mm」というようなものが滑脱抵抗力試験の試験結果となります。


この試験での縫い条件と、製品の縫製仕様が異なる場合が多々あります。この試験の際にミシンで本縫いする条件はJIS規格で定められていますが、実際の製品での縫製部分を使用して試験することもあります。

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