カケン
クレーム事例紹介    

このコーナーでは、カケンの「商品情報ファイル(クレーム編)」のなかから事例を引用し、ご紹介します。

 



【ピリング】









  セーターやカーディガンを長く着用していると、ところどころに毛玉が目立ち始めます。着用期間が長いと、ある程度はしょうがないと納得できます。
しかし、買って間もないセーターなどに、毛玉が沢山発生してしまった場合は、どうでしょうか?
そこで、今回は、カケンの「商品情報ファイル(クレーム編)」の中から“ピリング”の事例を引用し、紹介します。
 
 
 
  1.クレームの状況  
    苦情内容: フード付きカーディガンを数回着用しただけで、著しい毛玉が発生しました。
 
    苦情品の
外観:
カーディガンのほぼ全体に毛玉が生じており、脇下及び袖の内側が特に著しいです。  
    組成表示: 毛90%、アクリル10%  
    取扱表示: 取扱表示  
ピリング
     
モール糸の飛び出し及び花糸の脱落   モール糸の飛び出し及び花糸の脱落
                 
  2.同類のクレームの事例  
    (1) 短期間で発生しやすい商品  
        1. アクリルのセーターを着用したところ1ヶ月で毛玉が発生しました。
 
        2. 綿起毛のパジャマを着用、洗濯したところ、全体が毛羽立ち、毛玉が発生しました。  
        3. アンゴラのセーターを3回着用したところ、脇、袖に毛玉が発生しました。  
    (2) 着用条件や時間的経過によって発生しやすい商品  
        1. ポリエステルピーチスキンタイプのメンズコートを3ヶ月着用したところ、脇、袖、肩部に毛羽立ち、毛玉が発生しました。
 
        2. 毛(紡毛タイプ)・合繊混素材のセーターを1シーズン着用したら、全体に毛玉が発生しました。(洗濯は1回行っている)  
        3. 綿・ポリエステル混(単糸使い)のユニフォーム用ジャンパーを3ヶ月着用したところ、袖口、前身に毛玉が発生しました。(着用者は物品搬入係)  
                 
  3.なぜこのような現象が起きるのですか  
    (1) 着用中の摩擦や洗濯時の摩擦によって生じます。
 
    (2) ピリング(毛玉)の発生経過は次のようになります。
第一段階: 織編物が摩擦等の物理的作用を受けた結果、繊維の先端がその表面に毛羽となって出てくる。
第二段階: 表面に出てきた毛羽が収束し、絡まって毛玉を形成する。
 
                 
  4.このクレームが発生し易い素材の製品  
    (1) ソフト風合いのもの:
 
        1. 撚りが甘く、太番手の糸を使用した織編物  
        2. 起毛品  
        3. 一般に編物など、組織のルーズな方が生じやすい。  
    (2) 素材別にみると:
 
        1. 紡毛、獣毛及びその混用品(カシミヤ、アンゴラ、ファインウールなど)  
        2. アクリル短繊維及びその混用品  
        3. ポリエステル混用品及びポリエステル長繊維品  
    (3) 製品別にみると
 
        1. セーター類、スラックス、スーツ、スカート、パジャマ  
                 
  5.このクレームが発生し易い条件、部位等  
    (1) 着用時に  
        1. 全体的に連続的な摩擦を受ける場合  
        2. 局部的に反復、連続的に摩擦の加わる場合(股下、脇下、ポケット口、尻部)  
    (2) 洗濯時、単品洗いでは発生しにくいが、洗濯条件によって発生することがある。  
        1. ゴワゴワした硬めの被洗物と一緒に洗濯すると部分的に毛玉が発生します。  
    (3) 多頻度使用  
        1. ユニフォーム(着用頻度、洗濯回数の多い、作業服は発生しやすい。)  
                 
  6.売り場でのクレーム受付時の対応について  
    (1) 発生時の状況などについてお客様に確認します。  
        1. 購入日  
        2. 着用期間  
        3. 着用状況  
        4. 洗濯状況  
    (2) 上記を確認し、「調査しご報告いたします」ことを伝えます。
その際、調査に日数がかかる旨の了解を得ます。
 
    (3) 着用してからかなり時間が経過したクレームの場合は、発生状況をみて、軽微であれば着用や取扱い時の摩擦で毛玉が発生することを説明し、毛玉取り器を使用したり、指でつまんで取れることを伝えます。  
                 
  7.判断基準と試験方法及びクレーム処理時のお客様への説明方法  
    (1) 調査結果の報告書に基づいて説明します。  
    (2) 試験方法
 ピリング試験機JISL1076A法(ICI法)
  織物(10時間)3級以上
  編物(5時間)3級以上
 
    (3) 判断について  
        イ) 一般的には3級程度のものは、着用、洗濯の繰り返しで毛玉が発生すること伝え、商品の品質には問題がないことを伝えます。  
        ロ) 2級程度の紡毛品、起毛品などは、特性上やむを得ないことを伝えます。  
        ハ) 毛玉の発生しやすい生地(2級未満)は、品質に問題がある旨を伝えます。  
        ニ) 同種新品やデータがない場合は、着用期間や使用条件を考慮し、営業的処理をします。
注)商品をお返しする場合は、毛玉を取り除くようにします。
 
             
  8.商品を企画・生産する場合の注意事項と対策  
    (1) このクレームが発生し易い商品群は、企画段階でピリングの試験データ(上記ICI法)で確認します。(3級以上が目安となります)  
        1. 1級となる素材の使用は避けます。  
        2. 毛、アクリルのセーター、紡毛・起毛製品等で2級、2.5級程度のものは取扱い注意表示を必ず付けるようにします。  
    (2) アクリルニットやユニフォームは、抗ピル加工(短繊維の強度を低下させる)素材を選ぶのが望ましい。  
             
  9.販売時に必要な説明事項  
    (1) メンテナンスの方法
『着用後は、ブラッシングにより毛並みを揃えて下さい。風合いの良さが長持ち致します。』
 
    (2) クレームが発生しやすい素材、商品は、取扱い注意表示を見て説明します。また、発生した毛玉は、毛玉取り器を使用したり、指でつまんで取れる旨も説明します。  
                 
  10.その他  
    (1) 取扱い注意表示の例
『着用や洗濯等の繰り返しの摩擦により毛玉が発生することがありますので、着用後などは、ブラッシングによるお手入れをお勧め致します。また、毛玉になった場合には、毛玉取り器等によりお取り下さい。』
 
             

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