カケン
クレーム事例紹介    

このコーナーでは、カケンの「商品情報ファイル(クレーム編)」のなかから事例を引用し、ご紹介します。

 



【モール糸の飛び出し及び花糸の脱落】









  大寒も過ぎ、立春も過ぎ、衣服も濃色のコート、ブルゾンからちょっと軽めのセーター、それも着用者にふっくらやわらかいモール素材の華やかなものが街中に多く見掛けられるようになります。
ところで、モール糸使いのセーターを数回着用したところ、肩の部分が薄くなり、穴が開いたようになってしまったといった経験はありませんか?
なぜこのような現象が起きるのでしょうか?
そこで、今回は、カケンの「商品情報ファイル(クレーム編)」の中から"モール糸の飛び出し及び花糸の脱落"の事例を引用し、紹介します。
 
 
  1.クレームの状況  
    苦情内容: モール糸使いのセーターを数回着用したところ、モール糸がループ状に飛び出してしまいました。  
    苦情品の
外観:
袖、脇のモール糸がループ状に飛び出し、また、左肩部は花糸が脱落して薄く透けて見えます。  
    組成表示: 芯糸:ナイロン100%、花糸:アクリル100%  
    取扱表示: 取扱表示  
モール糸の飛び出し及び花糸の脱落
     
モール糸の飛び出し及び花糸の脱落   モール糸の飛び出し及び花糸の脱落
                 
  2.同類のクレームの事例  
    (1) モール糸使いのジャケットを着用し、ショルダーバッグを肩に掛けて通勤したと    ころ、肩部の花糸が脱落し、生地が透けてしまいました。  
    (2) モール糸使いのセーターをドライクリーニングしたところ、全体的にモール糸が    ループ状に飛び出してしまいました。  
                 
  3.なぜこのような現象が起きるのですか  
    (1) 飛び出し
モール糸は方向性があり、揉み、擦れ等の物理的作用により一方向に移動する性質があるため、引っ掛け等によって引き出されたモール糸は元に戻りにくい。
 
    (2) 脱落
モール糸は芯糸を撚り、または編んで花糸を挟み込んだ構造であるため、ある程度の負荷が加えられると熱融着糸を使用していない場合、花糸の脱落は避けられません。
花糸脱落を抑制するためには、熱融着糸の使用が有効です。
ただし、風合いを重視するためには、熱融着糸を使用していないものもあるので注意が必要です。
 
撚糸モール(丸モール)の構造図
 
      撚糸モール(丸モール)の構造図  
                 
  4.このクレームが発生し易い素材の製品  
    (1) 熱融着糸によって芯糸と花糸が接着されていないもの。
(花糸の脱落)
 
    (2) 糸番手、度目、組織等によって差が生じる。
(モール糸の飛び出し)
 
    (3) 防止策としては芯地の使用、裏貼り等が考えられる。  
                 
  5.このクレームが発生し易い条件、部位等  
    (1) 着用、クリーニングにより揉み、擦れ易い部位。(肩、脇、尻)  
    (2) クリーニングネットを使用せず処理された場合。  
                 
  6.売り場でのクレーム受付時の対応について  
    (1) 発生時の状況などについてお客様に確認します。  
        1. 購入日  
        2. 着用期間  
        3. 着用状況(ハンドバッグ、ショルダーバッグ等の使用の有無など)  
        4. 洗濯状況(柔軟剤の使用、 クリーニングネット使用の有無など)  
    (2) 上記を確認し、「調査しご報告いたします」ことを伝えます。
その際、調査に日数がかかる旨の了解を得ます。
 
                 
  7.判断基準と試験方法及びクレーム処理時のお客様への説明方法  
    (1) 調査結果の報告書に基づいて説明します。  
    (2) 試験方法
  毛羽付着試験(公的検査機関のセロテープ法など)
 
    (3) 判断について  
        イ)

2級以下の場合、品質に問題があったことを説明します。

 
        ロ) 2〜3級以上の場合で、取扱い注意表示の中で「摩擦による飛び出しや花糸の脱落」が記載されている場合は、その旨を説明し、商品特性と取扱い注意等を説明します。  
        ハ) 熱融着糸使用で取扱い注意表示が付いている場合であって、お客様がバッグ等で連続摩擦を伴う着用をした場合は、モール糸の特性をよく説明し、丁寧にお断りするか、現場責任者と相談し、必要な場合は営業的処理をします。
 
             
  8.商品を企画・生産する場合の注意事項と対策  
    (1) 企画段階で花糸脱落防止の熱融着糸を使用すること。  
    (2) 毛羽付着試験(セロテープ法)を行い2級以下、あるいは耐クリーニング性の劣るものは原則として使用しない。  
    (3) 着用及び洗濯に関する取扱い注意表示を付けること。(タッグと縫込み)
 
             
  9.販売時に必要な説明事項  
    (1) モール製品の特徴と取扱い注意表示内容を説明します。
一度、毛が飛び出してしまうと戻りにくいことを強調します。
 
    (2) 洗濯時にはクリーニングネットを使用することをお勧めします。  
                 
  10.その他  
    (1) 取扱い注意表示の例
モール糸は糸自身が太く組織も粗くなるため、糸が浮いたり物に引っ掛かったりすることがありますので、次の点にご注意下さい。
 
        1. 着用時、ベルト、バッグや周囲のものとの摩擦や引っ掛かりにご注意下さい。
 
        2. 洗濯時には、クリーニングネットを使用して下さい。  
             

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